屋根の劣化症状からメンテナンス時期まで徹底解説!
屋根の劣化は目に見えない分見過ごされやすいですが、時間の経過とともに適切なメンテナンスを怠ると深刻な問題につながる可能性があります。ここでは、代表的な屋根の劣化症状とその原因について解説します。
屋根は家全体を守る重要な役割を果たしているため、状態には注意を払う必要があります。
知っておきたい5つの屋根劣化サイン!
1.屋根材のずれ・浮き
特にスレート屋根や金属屋根において、屋根材が本来の位置からずれたり、浮き上がったりしている状態は劣化のサインです。
経年劣化と気象条件が主な原因と考えられており、長年の雨風や温度変化により、屋根材自体が劣化して変形したり、屋根材を固定している釘やビスが緩むことで発生します。また、地震や強風などの突発的な外力によっても引き起こされることがあります。
2.塗装の劣化
屋根の塗装が色あせたり、はがれたり、ひび割れたり、表面がチョーキングする症状がみられる場合は塗装が劣化していると言えます。
主に紫外線や熱、水が原因です。太陽光に含まれる紫外線が塗料の樹脂を破壊し、熱による膨張収縮や雨水の影響で塗膜が劣化していきます。また、大気中の酸素による酸化も劣化を促進させていると考えられています。
屋根の塗装は塗料によって耐用年数が設定されているため、それに応じたメンテナンスが求められます。
3.瓦の滑落・落下
屋根瓦の一部が元の位置からずれたり、完全に落下したりしている状態です。
瓦屋根は本来、メンテナンスの必要がほとんどないとされていますが、長年の雨風にさらされて下地材や漆喰が劣化し、瓦を固定する力が弱まった状態で、地震や強風などの大きな力が働くことで引き起こされていると考えられています。
4.棟板金の劣化
症状として屋根の頂部にある棟板金の固定力が低下して浮き上がったり、変形したり、錆びたりしている状態が見られます。
主な原因は気象条件と経年劣化とされており、長年の温度変化や振動によって棟板金を固定する釘やビスが緩んだり、雨水の侵入や結露によって下地の木材が腐食していることが考えられています。
5.雨漏り
室内の天井や壁にシミやふくらみが現れたり、雨水が室内に侵入する状態を指す「雨漏り」ですが、これは前述の劣化症状が進行した結果として発生するトラブルです。建物の劣化によって雨水が屋根や外壁から内部に侵入し、最終的に室内まで到達することで雨漏りが起こります。
ここまで進行している場合、防水層(ルーフィング)も劣化している恐れがありますので、原因となっている箇所を正確に見極め、慎重に修繕工事を行うことが求められます。
【危険度別】今すぐやるべき劣化はどれ?
屋根の劣化症状は時間の経過とともに進行するため、放置しているといずれ住宅の構造体にまで悪影響を及ぼす可能性があります。以下では5つの劣化症状を修繕の緊急度別にご紹介します。深刻な劣化症状を見極め、効果的な修繕計画を立てましょう。
優先度「高」:屋根としての機能を失っているケース
①:雨漏り
雨漏りは屋根の劣化が進行した結果として現れる最も深刻な症状の一つです。建物内部に水が浸入すると、建物内部の損傷・構造体の劣化・電気系統への影響など、様々な二次被害を引き起こすリスクが極めて高くなります。雨漏りが確認された場合は、即座に専門家に相談し、原因の特定と修理を行う必要があります。
②:瓦の滑落
瓦の滑落は安全性の観点からも非常に危険な状態です。落下した瓦を放置しておくと重大な事故につながる恐れがあります。また、瓦が欠けた箇所から雨水が浸入する可能性も高まり、カビの発生や雨漏りといったトラブルにつながるため、早期の撤去と修繕が必要です。
③:屋根材のずれ・浮き
屋根材のずれや浮きは、雨漏りの直接的な原因となる劣化症状です。前述のとおり、雨漏りは進行すると建物全体の寿命にも影響しかねない深刻なトラブルですので、これを防ぐためにも早急に修繕しなければなりません。
優先度「中」:経年劣化が見られるケース
①:塗装の劣化
長期的には屋根材の耐久性にも影響がある症状ですが、即座に雨漏りなどの深刻な問題につながる可能性は低いため、ほかの劣化症状と比べると優先度は低くなります。ただし、放置すると屋根材の劣化が加速し、さらなる症状に繋がりますのでメンテナンスの検討が必要になります。
②:棟板金の劣化
棟板金の劣化は屋根の防水性能に影響を与える可能性がありますが、塗装の劣化と同様に、深刻な問題ではありません。ただし防水層(ルーフィング)の劣化が進行すると雨漏りのリスクが高まるため、必要に応じて交換することを検討してください。
屋根材ごとの「メンテナンス目安時期」ってどれくらい?
ここまで屋根の劣化症状について解説してきましたが、屋根というのは、常に外気にさらされている部分ですから、経年劣化は避けられないものです。以下では、メンテナンスを計画するべき時期について屋根材別に解説します。前述の劣化症状が見られる前に対策して、住まいを守りましょう。
粘土瓦:15〜30年
50-100年というの圧倒的な耐用年数を誇る瓦屋根は基本的に問題がなければメンテナンスの必要がないとされていますが、前述した劣化症状の一つである「瓦の滑落」を防ぐメンテナンスとして漆喰の補修が効果的です。漆喰は約20年で劣化するため、これに合わせて計画することをおすすめします。
トタン屋根:5〜15年
金属屋根の中でも特に錆びやすいトタン屋根はこまめなメンテナンスが必要です。
錆を防ぐための塗装はもちろん、コーキングにも注意が必要になります。劣化症状が進行してしまうと全面的な葺き替え工事の必要があるため、最低でも15年単位で屋根の状態の確認が必要になります。
スレート屋根:10〜15年
軽量で施工しやすいと人気のスレート屋根ですが、経年劣化には注意が必要です。
メンテナンス内容としては10年前後の再塗装が一般的ですが、20年ほどで下地のルーフィングが劣化してしまうため、塗装は2-3回が限度とされています。いずれ全面的な葺き替えが必要になる屋根材ですから、劣化症状が気になる方は一度専門業者に相談することを検討してください。
ガルバリウム鋼板:5年
金属屋根の中では耐久性に優れているガルバリウム鋼板ですが、色褪せや塗膜の劣化、傷や錆びなどの劣化症状が見つかり次第、部分的な補修を行うだけでも耐用年数以上の長寿命化が期待できます。
劣化サインは専門家に相談を
いかがでしたか?前述のとおり、常に外気にさらされている屋根には経年劣化が避けられないものです。とはいえご自身での目視が難しい場所でもありますから、専門家に点検・診断を依頼することをおすすめします。
大規模な修理や突然の雨漏りを防ぐためにも早めの対応を心がけましょう。