「屋根が浮いている」と言われたら?知っておきたい棟板金が招く屋根トラブル
訪問営業に突然「屋根の板金が浮いている」「釘抜けが起きてるかも」「今すぐに修繕しないと雨漏りする」などと言われて不安…とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
結論、屋根の浮きは地上から目視で判断することは極めて難しく、こうした営業は悪徳業者である可能性が高いと言えます。とはいえ、もしも棟板金の浮きや釘抜けが実際に起きている場合は深刻な状況と言えます。
本記事では棟板金の浮き・釘抜けについて詳しく解説していきます。
「屋根が浮いている」ってどういう状態?
棟板金と屋根材の間に隙間ができる劣化症状をいいます。実際に地上から黙視することは難しいですが、強風時にバタバタと音がしたり、雨漏りが発生するなどがきっかけで発覚することが一般的です。
主な原因は経年劣化とされており、強風や雨などで錆びてしまった釘が抜けてしまったり、下地の木材が腐食してしまうことで屋根材と棟板金との固定力が低下することで発生します。積雪地域では雪の重みによって棟板金に負荷がかかるのも浮きの原因になることもあります。
棟板金とは?
屋根の最も高い部分である棟(むね)に設置される金属製の板金部材を棟板金と呼びます。下地となる貫板と呼ばれる木材や樹脂製の部材に釘やビスで固定される構造になっており、スレート屋根や金属屋根の屋根材同士の接合部分(頂点)を覆っています。
棟板金には「雨水の侵入防止」と「屋根材の固定」の大きく2つの役割を担っています。強風や地震に耐えうる強度を保ちながら、雨漏りや屋根下地の腐食の防止を実現しているのです。
浮いた棟板金が引き起こすトラブル5選
棟板金の浮きは一見すると軽微な問題に思えるかもしれませんが、この状態を長期間放置することで建物全体に深刻なトラブルが発生するケースがあります。以下では棟板金の劣化症状が進行することで発生する可能性があるトラブルについて解説していきます。
1.断熱性能の低下
第一に、屋根に隙間が生まれることで建物全体の密閉性が損なわれ、外気が屋根裏に侵入しやすくなります。夏場は暑い外気が入り込み、冬場には暖かい空気が逃げやすくなるため、断熱性能が低下し、冷暖房効率の悪化が考えられます。
2.屋根下地の腐食
棟板金が浮くことで雨水や湿気が屋根内部に侵入する経路を作り出します。この侵入した水分が屋根の木材下地に直接触れることにより、腐食が進行するリスクが高まります。これは目に見えない状態で進行していくため、気が付いた時にはすでに深刻な問題になっていることも少なくありません。腐食した木材の修復は難しく、最悪の場合建物全体の大規模な改修工事が必要になる可能性もあります。
3.カビやシロアリの発生
湿気の多い環境はカビやシロアリが好む環境です。継続的に湿気にさらされることで急速に繁殖が進み、その影響は室内にまで広がります。アレルギー反応や呼吸器系の問題を引き起こす原因にもなる可能性が高いです。カビやシロアリの駆除には専門的な処置が必要になるだけでなく、一度発生すると完全な除去は難しいとされるため、根本的な解決のためには多額の費用が掛かることは間違いないでしょう。
4.雨漏りの発生
ここまで症状が進行しているとルーフィング(防水機能)が大きく低下します。特に強い雨や台風の際、雨水が屋根内部に侵入しやすくなります。初期段階では天井や壁に小さなシミが現れる程度かもしれませんが、放置すると被害は急速に拡大します。建物内部の構造や電気系統にまで悪影響を及ぼすリスクを高め、建物全体の寿命を著しく縮め、最終的には大規模な改修工事や建て替えが必要になる可能性があります。
5.強風による二次被害
浮いてしまった棟板金は強風で飛散しやすく、周辺の屋根材を損傷させるだけでなく、台風などによって周辺の屋根材も損傷を受けたり、最悪の場合は人身事故につながるリスクもあります。さらに飛散後には屋根の頂部が完全に露出した状態になり、前述の問題が一気に悪化する恐れがあります。
症状の進行度別にみる修繕方法
1.釘・ビスの打ち直し
症状が軽度の場合は新しい釘やビスで再固定します。必要に応じてコーキング(シーリング材)も打ち直すことで防水性を高めることができます。
2.棟板金の交換
症状が重度の場合や、棟板金自体が損傷している場合は棟板金の交換が必要になります。既存の棟板金を取り外し、新しい棟板金を設置します。固定には釘よりも耐久性の高いビスを使用し、さらにコーキングで補強することでより長期的な耐久性が期待できるでしょう。
3.貫板(ぬきいた)から交換
棟板金の下にある貫板が腐朽している場合は、貫板から交換する必要があります。この方法は最も大掛かりで屋根材を一部はがして作業を行います。貫板交換の際は古い釘穴をしっかりとシールして雨漏りを防ぐことが重要です。
ここまで代表的な修繕内容をご紹介しましたが、劣化状況によって施工内容は異なります。進行の度合いによっては棟板金以外の箇所にも影響が及んでいる可能性もあるため、具体的な修繕方法は専門業者による詳細な診断を受けることが第一となります。
修繕の費用相場
修繕方法の費用相場としては以下のようになります。
- 釘やビスの打ち直し:2万円-8万円
- 棟板金の交換工事:1mあたり3,000円-5,000円
- 貫板交換工事:1mあたり3,500円-5,000円
なお、足場の設置が必要になる場合や、オプションに錆止め塗装を含める場合は別途加算され、総額で30万前後になるケースもあります。修繕方法が複雑になるほど費用は高額になる傾向にあります。
棟板金の定期メンテナンスは住まいを守るカギ
い一見小さな問題に思えても、家全体に深刻な影響を及ぼすリスクが高い劣化症状が「棟板金の浮き」なのです。とはいえ、屋根は目視で点検するには難しい場所であるがゆえに早期発見がなかなか難しいため、屋根の耐用年数に応じたメンテナンスを実施することが求められます。
当社では職人による丁寧な点検を通して修繕のご提案しております。屋根の状態に不安がある方はまずはお気軽にご相談ください。お住まいの屋根の状態に不安がある方まずはお気軽にご相談ください。